内定者の辞退を阻止・防止するための方法まとめ

6月から始まる採用担当者の悩み 内定者が辞退してしまった図 6月は毎年新卒の採用がおおむね埋まりだす時期です。多くの会社がこの時期をゴールに新卒採用を行い、(理想を言えば)この時期までに目標の内定者+αから内定承諾を撮り終えていることを目指しているのではないでしょうか?目標数以上に内定承諾を取れた会社は一安心、、、かといえばそういうわけでもありません。次の悩みが始まります。そう内定者の辞退です。 先に+αと書いたのは新卒採用をする会社のほとんどが、辞退を織り込んで内定を出す、承諾を取りに動くからです。大企業でも1割~3割、中小に至っては、5割以上の内定辞退を読み込む会社も少なくありません。そして、たくさんの人事担当者が、辞退が出るのは仕方ないと考えています。特に中小企業においては、大手で内定が出たら勝ち目がないと考える担当の方もたくさんいます。 しかし、この分野に関しては、大手であろうと中小であろうと同様に悩みは尽きません。逆に中小零細と言われる規模の企業でも内定者の辞退を限りなくゼロに近くすることに成功している企業はたくさんあります。当然採用に係る費用的・労力的な生産性は非常に高まります。 今後さらに採用難の時代がくることが予想されます。そんな時代にはこれまで以上に一人の採用コストは膨れ上がるでしょう。逆にここで一人一人を確実に入社させることができれば、とても価値の高い仕事と言えるのではないでしょうか。 そこで今回は内定者の辞退を阻止・防止するための方法を考えてみたいと思います。

内定者辞退阻止・防止するとは

ここで改めて内定者の辞退を阻止・防止するということの定義とゴールを整理しておきます。それは定義は「内定者を辞退させずに入社させること」になります。またゴールとしては、「内定承諾をとった学生全員を入社させること(入社式に参加させること)」とします。ここで書きたいのは、内定者とは、内定承諾をとった学生のことを指すということ。また、ゴールは全員入社させることです。 なぜ改まってこんな当たり前のことを書くかというと、内定者の辞退が多く相談を受けた際に、「辞退は困るんだけど、全員入社されると、予定の数をオーバーするからそれも困るんだけどね・・・」などと、言われるケースがあるからです。 この発言は辞退者が発生するのは当たり前という認識が前提にあります。そのために余分に内定承諾を出してしまっているということです。これだけならいいのですが、そのようなケースに私たちが『では採用したい優先順位はあるのでしょうか?』とお聞きすると「この子は欲しい、でもこの子は最悪辞退されてもまあいいかな・・・」などというわけです。これでは辞退が出ても仕方がありません。また採用判断にも甘えが出てきてしまいます。 理想は、本当に欲しい人材だけから内定承諾をもらい、そのすべてに入社してもらうことです。それが難しくても、少なくとも辞退を阻止するというステージに移った以上は、全員を入社させると、全力でアプローチするべきです。この意識がブレていると、どうしても具体的な施策の精度が下がってしまうので、ぜひ注意しましょう。 では具体的に辞退を阻止するためにどうすればいいのか考えていきます。

学生はなぜ辞退するのか?

なぜ学生が辞退するのか、こちらのデータをご覧ください。 内定を辞退した理由 上から、順番に内定辞退の理由があげられています。採用担当者からすれば、「業種が合わなかった」「職種が合わなかった」など、そもそもわかっていたのでは?とガックリ来るような内容が上位を占めています。私も採用する側にいたときのことを思い出すと、暗澹たる気持ちになります。こういった、採用選考時にギャップが生まれがちな、あるいは採用選考プロセスで改善・解消ができうる項目に関しては、このタイミングでは忘れるのがコツです。 どうしても、そもそも、、、と考えたくなる気持ちはわかりますが、それは翌年度の採用計画立案時に検討すべき項目であり、辞退を阻止するタイミングで議論をしても仕方がありません。ではどうすればいいのでしょうか?

解決できる問題に集中しよう

答えは、今の段階で解決・あるいは対応できる問題にだけアプローチすることです。我々のゴールはあくまで今目の前にいる内定(承諾)者全員を入社させることです。その前のそもそもの問題に言及しても、評価は上がりません。あくまでも内定者を全員入社させることがミッションなのです。そういう意識で改めて上記のデータを見直してみると、対応できるものとそうでないものがわかってくると思います。

気にしても仕方がないもの

気にしても仕方がないものとしては、「業種」「勤務地」「給与水準」「勤務時間・休暇」などがあげられます。つまり、動かせないもの、数字で評価できるようなものでしょう。 こういったものは入社すればすぐにわかるものなので、ごまかしても入社後の離職率があがるだけです。また、実際に学生側も、動かしがたい内容であることは理解していますので、誤ったアプローチをすると、逆に怪しまれてしまうでしょう。得策ではありません。

改善や解釈で改善できそうなもの

逆に「職種」「安定性」「一緒に働きたいと思える人」「周囲の意見」などは内定承諾後のアプローチで、イメージアップ・評価アップできるのではないでしょうか。 例えば、職種や安定性など、学生の側でどこまで正確に理解できているのかというと怪しいものです。企業研究なども行っているでしょうが、あくまでも外から見た研究です。また、周囲の意見なども、そうです。例えば、親御さんや友人に内定者が自分の会社を説明したとして、どれほど魅力的に語ることができるのでしょうか? 例えば、そういったシチュエーションを想定して、会社の魅力を伝えるツールを用意する、積極的に情報を開示していくことも有効と考えられます。

個別のデータとPDCAが内定辞退を阻止・防止する

PDCAの画像 実際に内定辞退を減らすという場面では上記のような、大きな概念だけでは役に立ちません。学生の傾向を見ながら、各社ごとになぜ辞退が発生したのか、その中で対策を打てるものは何か?と前年のデータを活用しながら、仮説を立てていきます。 それらが積み重なることで、自社のノウハウも貯まりますし、そのデータをもとに採用プロセス自体も改善することができます。 そのため、ここでは初めて新卒を採用する場合などに役立つ一般的なアプローチを整理してみます。

内定者辞退を阻止・防止のアプローチ

大枠としては、個人ごとに管理し、辞退につながる要素をつぶすという形になります。そしてつぶしたうえで、みずから決断する・辞退しにくくするというシチュエーションを用意するということも重要になります。 具体的には下記の4項目を想定すると、良いでしょう

(1)個人別に管理し、内定承諾のポイント、内定辞退につながる要素を洗い出す

管理帳票は何でも構いません。学生ごとに、不安要素や辞退につながりそうな要素はすべて洗い出しましょう。キチンと採用プロセスが設計されていない場合は、この洗い出しが行えません。面接官に聞いても、「特に不安はない」などと返ってくる場合もあります。しかし、それはコチラが聞き出せていないと考えましょう。皆さんも経験があると思いますが、学生が社会人になるということはそもそも不安があるのです。それがどこに噴出するかは、個人次第ですが、いずれにせよできる限り多く想定し、問題がないかをチェックしていきましょう。 ベストは内定を出した段階でそれらの情報が整理されている状態ですが、難しければ、直接本人に時間をとってもらいヒアリングしても問題ありません。むしろ自分の不安に寄り添ってくれるとよい印象をあたるケースの方が多いはずです。とにかく早めにここを済ませておけるかどうかが成否を分けます。早急に行いましょう。

(2)個別に上記要素の解消案を設計・実行する

現状(不安)がわかれば、対策もある程度絞ることができます。すべてが有効というわけではありませんが、相手と会社の予算を見比べながら、可能な限り対策を実行しましょう。あまりやりすぎると、それに嫌気をさして逆に辞退につながるのでは?という相談もいただきますが、何もしなくても辞退になるかもしれません。繰り返しになりますが、アくまでもゴールは全員を入社させることです。やらない後悔よりかは、やって振り返り、次に活かしましょう。 一例として、学生の課題と対策の例を記載します。 (内定者研修、などは大まかすぎるので省いています)
辞退につながる要素 対策の案
会社/職種に対する理解が浅い (安定性や職種が合わないと感じさせてしまっている) ・先輩社員との接触頻度を増やす(食事会など含む) ・内定者向けの資料・動画・説明会など(個別の不安に絞って内容を設計) ・アルバイト/職場見学
ご両親や周囲の人間の評価が低い (学生自体がうまく説明できていない) ・周囲の人間に見せるようのコンテンツ(動画など) ・直接会う機会を作る
自分に自信がない (やっていけるかどうか不安) ・メンター制度を設けて、定期的に不安を吐き出す機会を作る ・同じ悩みを持っていた先輩社員と引き合わせる
若干具体性には欠けますが、実際にある会社では、内定承諾が発生したら、社長がご両親に会いに行くということをルールにしています。またそれができない別の会社では、ご両親や友人に自社を紹介するための動画コンテンツを作成し、カンタンにそれをシェアできるようにしています。これは周囲の人間の説得という意味と、学生自身が会社にプライドを持つような内容にしていることで、入社意欲をさらに高める効果が合ったとのことです。 このように各個人ごとの悩みに対して、対策を打つことで辞退の確率を下げるということを行っていきます。

(3)決意を固めるイベントを効果的に活用

また、内定承諾から入社までの期間にイベントを配置することで、本人の入社意欲を確実にするということも考えられます。 (こちらも研修は省いています)
イベントのタイミング イベント案
内定承諾時 ・内定通知書授与 ・内定式
承諾から年末まで ・BBQなどレクリエーションイベントに参加させる ・忘年会に参加させる
年始から入社まで ・年始のイベント ・方針/計画発表会など ・内定前の役員講話など
こういったイベントは参加させるだけではなく、個人のアクションを必ず合わせて求めます。それが、アンケートでもいいですし、先輩社員への挨拶・自己紹介でもOKです。また、大掛かりな話になりますが、翌年の採用活動プロセスへ参加させて、採用する側に回らせるということも多くの会社で行われています。全体の業務を担当させるのは負担が大きいですので、例えば会場の誘導や、資料作成の手伝い、イベント実施のブログ記事作成などは比較的簡単にできますので、おススメです。

(4)人的きずなや関係を意図的に作る

最後に人的関係・きずなを作るということも有効です。これは会社の魅力にプラスしてその人の魅力・関係も込みで入社意欲を高めるということを意図します。
ヒト 関係構築のシチュエーションや工夫
採用担当者 ・内定式 ・内定者研修
先輩社員 ・内定者懇親会 ・各種イベント ・個別で引き合わせ
同期 ・内定者研修 ・SNSなどのツール ・食事会/懇親会など
役員・社長 ・役員講話 ・食事会など
実際に弊社が支援するある会社では、前年の新卒採用で、<採用プロセス・内定期間中に、『憧れの先輩となる社員』をひとり以上つくった学生は内定辞退率が下がる>というデータが出てきました。そこで翌年以降は意図的にそういった先輩足りえる人材を新卒採用のアイコンとして起用し、内定辞退阻止に役立てています。 こういった工夫はいくつも考えることができます。そして、そういった試行錯誤ができる企業が良い学生を最小限の労力・コストで入社させることができるのです。

最後に

メンターと学生 このように、アイデア次第でまだまだできることはたくさんあります。新卒採用は年に1回しか行えないからこそ、毎年の設計で定番の施策と合わせて、新しい取り組み/トライアルを導入することが重要です。その中で、自社の新卒採用における課題があぶり出され、来年以降の活動に役立てることができます。 内定者同士の専門SNSなどITツールもこの分野ではいくつも開発されていますが、これらのツールはあくまでも課題に対する解決策です。つまり、課題が明確ではない、あるいは解決できない、課題を課題としてとらえている場合にはツールの効果も半減します。 自社の課題を洗い出しつつ、データをもとに最小の労力・コストで改善を狙ってはいかがでしょうか?]]>

この記事を書いた人

山本 浩平