AI面接?録画面接?自動説明会?地方企業でも求められる新しい採用面接のカタチ

採用にかかるマンパワーという課題 毎年リクルート社が公表している就職白書という資料は、企業側・学生側双方のデータを元に、その年の新卒採用を総括している。その企業側の課題感で毎年1位に上がる項目がある。それが「採用にかかるマンパワー」というもの。 リクルート就職みらい研究所就職白書2019 サイトでは過去三年分のデータが公開されているのですが、毎年このマンパワーの問題が1位となっています。ちなみに前年の2018年と比較した資料では、採用にかかるコストや時間とともに前年を大きく上回っており、採用にかかる投資が年々増えていっていることを感じられます。 弊社のクライアントでも、「採用担当を総務部のメンバーが兼任していて、この業務にばかり時間を割けない」「説明会を開いても、数人しか来ないとかなり凹む」「非効率な採用活動をなんとか改善したい」という相談を受けることがあります。特に面接活動はどうしても省くことはできないものではあります。だからこそマンパワーが必要になるのですが、最近の様々なソリューションではそこを改善しようという動きが始まっています。今回は、採用活動という大きな枠組みの中から、面接についてご紹介したいと思います。

採用面接の2大機能

そもそも面接とはどういったことを行うものなのかを考えると、大きく2つの要素があることがわかります。①求職者を見極めるという機能 ②求職者に自社の魅力を伝えて動機づけるという機能です。何かしらビジネスのプロセスを改善しようとするときに、それを構成する要素・機能にわけて、代替できないか?と考えるのが非常に有効です。そこで、それぞれの機能に分けて考えてみます。

その1:”見極める”機能

採用面接で求められる一つ目の機能はこの”見極める”ということになります。
  • 目の前の応募者が自社にとって有益かどうか?
  • 必要とする能力を保持しているか?
  • 信頼できる人物かどうか?
  • 他の社員とうまくやっていける人物か?
  • 会社の理念・風土にマッチする人材か?
面接という限られた空間・時間の中でこういったことを見極めるのはとても難しい要素です。そのため優秀な面接官は職人のようになり、特別な技能を求められることになります。しかし大半の企業ではそのような専門の人材を配置し、特別なトレーニングをするケースは稀であり、何かしらの業務を兼務をしている場合がほとんどです。結果、面接官のスキルにはばらつきが出て、面接官の主観や好みで採用判断がおこなわれるケースが多くみられます。 その結果、入社後の人材のパフォーマンを十分に発揮できない配置となったり、そもそも配属先でトラブルを起こすようなことが発生します。人材不足が明らかになり、ここにメスを入れる会社が増えてきました。そこで、目立つようになってきたのが、「AI面接」というキーワードです。

AI面接

AI採用面接 AI採用面接とは文字通り、AIが採用担当者の代わりに実施してくれます。国内で運用されている代表的なサービスは2014年設立のタレントアンドアセスメントが開発した「SHaiN」があります。これは、スマホや「Pepper」が面接官となり、応募者の面接を実施します。質問を実施したり、その質問に対する反応をカメラで撮影し、分析・観察することで、応募者の能力や資質を中心に評価します。メリットとしては、24時間どこからでも面接を実施できること、そして面接官の工数を軽減できる点が大きいと思われます。評価項目も内面のより根本的な要素を評価できるということで、他の診断ツールと併用することも効果的と考えられます。 IGSが開発した「GROW 306」は、性格診断、適性診断に重きを置いたツールです。基本的には、SPIのような評価項目をAIを使って診断するというものです。見極めるという点で、属人性を排除して、評価にかける時間を短縮できる効果が見込まれます。仕組みとしてはこうです。その会社ごとの求める人材のコンピテンシーを評価し、その会社ごとのコンピテンシーとのマッチ率をAIを活用して診断するというものです。特徴としては、自己評価のみならず、他者評価も組み込むことができ、より客観的な項目も評価対象とできることがあります。実際にAIが面接を行ってくれるわけではないので、従来の診断ツールと同じカテゴリーに存在すると言えそうです。 海外でもAIを応募者の”見極め”に活用している事例はあります。次の項目でも記載する「HireVue」などもその一つです。これは録画された応募者のデータをAIにより解析し、採用する企業の評価する項目のマッチ率を分析するという機能を持っています。それぞれの会社で活躍できる人材かどうかをAIを使って見極めることになります。このツールの特徴としては、過去の面接でのデータを蓄積し、入社後の評価とも連携することで、AIの分析精度を高めることができることがあります。ビックデータを活用できる点は、AIの得意技ですので、経験を積めば積むほど精度があがることが期待できます。「 HireVue」は国内ではタレンタ社が販売しています。 このように個人の資質を見極めるという点においては、AIのデータを蓄積し、それを自動で分析・次に活かすという機能は相性が良いように思えます。

録画面接

録画面接で自撮りしている女性 「見極める」という機能で、応募者の面接の様子やアピールを動画に撮影し、それを評価するというサービスもあります。先ほどあげた「HireVue」はそれに当たります。仕組みとしては、WEBカメラを使い、応募者自身が自分を録画し、それを会社側に提供することで面接とする形と、ライブ形式でカメラを介して面接を行うという両方を選ぶことができるようです。24時間いつでもどこでも面接を実施できるというメリットはそのままに、録画であれば応募者側も事前に準備ができるため、気楽に応募できるという点で、応募者の心理的負担を減らし、母集団形成にも役立つことが考えられます。 会社側の見極める機能に直結するわけではありませんが、AIなどとの連携は想定されている分野です。また、これまで面接というステップがどうしても属人的になりがちであった理由の一つに、面接の内容をリアルに共有することができなかったことがあります。同じ人材で同じ場所で複数の面接官が面接を実施するということは、より人材負担が高まることになり、またそれを事例として振り返りや教育研修などを行うということが困難でした。しかし、録画された動画であれば、効率的に面接担当者に同じ情報を共有し、評価基準を統一することも可能になります。その意味では見極めるという機能を強化することが期待できると言えます。

その2:動機づける

採用面接で面接官に求められる機能の二つ目は“動機づけ”、つまり「この会社に入社したい!」「ここなら成長できる!」「もっと知りたい」という前向きな欲求や意欲を引き出すことです。見極めるという行為の中で評価が高く、是非採用したいとラブコールを送ったとしても、本人自体が入社したいと思わなければ、採用は成功しません。良い人材は他の競合の会社から見ても、良い人材の可能性が高く、人材難の現在、地方と都心部の境界は曖昧になりつつあります。専門職の採用など、都心の企業が地方都市にまで採用活動のエリアを広げていることも珍しくなくなりました。ましてや前段のAIや録画を使った面接が一般的になれば、地方企業・中小企業の競合は大手・都心の会社など関係なく日本全国・全ての企業が競合他社になってしまったとも言えます。 だからこそ、同じ業界の他社ではなく、大手ではなく、都心の会社ではなく、”我が社に”「入りたい!」と思ってもらえるように動機づける機能が重要となってきます。その意味で面接はリアルに応募者と接点がもてる貴重な機会です。そこで応募者の心理を知り、適切に情報を提供し、魅力を伝え、関係を作り、入社意欲を高める作業が動機づけと言えそうです。しかしながら多くの会社では先に書いた面接官の技量により、動機づけの能力にも大きく偏りが発生しています。 その場で適当に良いことだけを言ってしまうケースや、逆に会社の魅力を十分に伝えられないケース。そもそも面接官自身が魅力的でないので、会社のイメージを損ねているケースなど、まだまだ改善のよりがあることは明らかです。

入社の動機づけに効果的な情報

では動機づけにどのような情報を提供すればいいのでしょうか?ここで前出のリクルートが出しているデータから参考になるグラフを下記に貼り付けます。就職活動を通じて、学生が知りたいと求めていることのアンケート結果になります。 就職白書2019データ このアンケート結果では、学生がもっとも知りたがっているのは、企業の「経営方針・事業戦略」「勤務地」「社内の雰囲気・風土」となっています。とても当たり前の内容です。おそらく多くの会社は会社説明会やIR等を通じて公表しているはずです。もししていなければ、企業の規模に関わらず、応募者には示すべきだと考えます。船に例えると、行き先に当たるこれらの情報がないというのでは怖くて船に乗ることもできません。逆に言えば、これらを公表しても差別化にはなりません。

重要なのは知りたかったけど知れなかった情報

さらに求められている情報は提示したという前提で、知りたかった情報かつ知れなかった情報(棒グラフと線グラフの差の大きいもの)にも注目してみます。すると、「有給休暇の取得日数率・取得率」「社内の人間関係」「離職数・離職率」「所定外労働時間の実績」「企業文化・風土」「平均勤務年数」と聞きにくいけれども、知りたいこと=本音の部分が見えてきます。実はこう言ったことこそ、貴重なリアルな場である面接では効果的な情報になります。 採用する側としてこう言った情報はどこか言いにくいものです。うちは完璧だと胸を張って言える会社は少ないと思います。でもそれでいいんです。むしろその状態でも頑張って働いているみなさんがいるということは何かしらの魅力や希望や、やりがいがあるはずです。「うちの会社は素晴らしいよ!ただ、残業は・・・仕方ないよね。」と言われるのと、「うちの会社、遅くまで残る時はあるけれども、頑張ったら頑張っただけ認めてくれるし、働いた分、休みをまとめて取得することもできる。何よりもここで働くことに・・・な魅力があるんだ!」と言われるのとどちらが魅力的でしょうか? 競合他社に負けないで、自社への入社意欲を高めるためにはこう言った情報こそ提供すべきだと思います。結果的にそれが離職率の低減にも繋がります。とはいえ、こういった情報提供は表現の仕方を間違えると、ネガティブな愚痴に聞こえてしまう場合もあります。そこで、会社の見えない魅力を可視化して動機づけるサービスも増えてきています。

動画を使った採用コンテンツ

一つ目は動画コンテンツの活用です。動画が文字や絵に比べて数百倍の情報量があり、訴求力が強いことはもはや常識です。そして、採用活動で動画コンテンツを活用することも一般的になってきました。しかし、これまでの動画コンテンツは、PVとしての役割が多く、会社の良い面を見せるものが大半でした。そういったコンテンツそのものが珍しい時代では差別化にもなりますが、これだけ動画が身近なものになった現在、学生や応募者は動画で表現された内容が本当だとは素直には捉えません。結果どうなるかというと、HPやSNS等でみたコンテンツの中身(いいことばかり言っているもの)を面接で確かめるという流れになります。こうなると、面接官も本音の話がしにくくなってしまいます。 そこで最近は会社のまだまだな部分も魅力的な部分も両方を開示できるような動画コンテンツが効果的だと言われています。これらはコンテンツの作り手の技量や会社の方針にもよるので、弊社の動画サービスを例としてご説明します。

魅力ある実話はストーリーになる

弊社では、採用動画はインタビューに特化し、台本なく撮影しています。採用企業側との課題感(どういった情報を提供したいのか?どんなハードルで内定承諾まで至らないのか?)を把握した上で、それらを解除、あるいはそういった課題を感じつつも、この会社でやりがいを持って働いている方にその想いを語ってもらいます。台本がないため、インタビューを受ける方は少し困惑しながらインタビューを進めることになるのですが、手順とノウハウにより、みなさん自分の中にある本音を語ってくださいます。 学生や応募者が求めているのは、ただ単にいい話ではなくて、魅力的なストーリーであり、自分が共感できる実話です。それらをいかに生々しく語っていただくか。これがキモになります。こう言ったものを学生や応募者の方にみていただくと、採用担当者が不安を払拭しようとあれこれ語るよりも、よほど信頼感を醸成することができます。また、面接官の方も何か特別なトークや話法を使う必要もなく、動画に出ている(自分が知っている)社員について語るだけで学生や応募者と共通の話題を持つことができます。 もし特定の社員に共感が強くなれば、その人間と引き合わせることもできます。社員も会社の重要な資産です。これら社内の資産を活用する意味で動画コンテンツというものを捉え直してみてはどうでしょうか?

動画を使えば、説明会も自動化できる

また、動画コンテンツを使えば採用プロセスをブラッシュアップできるようにもなってきました。前出の録画面接などもその一環ですが、学生・応募者のみならなず、採用側でも同様に考えることができます。最近弊社では「採用動画で説明会を効果的に自動化できないか?」ということに取り組んでいます。実は冒頭のマンパワー不足の課題に通じるのですが、地方の企業や中小企業の場合、どうしても面接や採用説明会自体に人を割ける限界があります。

マンパワー不足を救う動画採用説明会

例えば、新入社員採用であれば、採用説明会を開催することが一般的だと思いますが、ピークを過ぎると十分なマンパワーを割くことが難しくなります。担当者自体が他の業務も兼務しており、そちらにも時間を割かなければいけないからです。しかし、ピークである6月くらいまでに十分な数の内定者を確保できない、あるいは内定辞退者が出た場合には、改めて採用活動をおこなう必要がでてきます。ここで採用活動をしないといけないけれども、マンパワーがたりないという課題がでてくるのです。 そこで動画を活用して、採用説明会自体を自動化します。応募者をネットや媒体を通じて、自社サイトなど集客します。通常であれば、ここから説明会などに誘導するわけですが、ここで動画を活用して、説明会を実施してしまいます。その中には前出したような魅力あるコンテンツを折り込みます。また視聴データを取得することで、より効果的なコンテンツに改善していくこともできます。こういったものを活用することで不足しているマンパワーを補いつつ、優秀な人材に動機づけも同時に行うことができると考えています。

地方の企業が検討すべき採用面接のカタチ

このように人口減は結果として、採用を推進する企業側にも様々なソリューションを生み出してくれています。むしろ多くのサービスが増えたため、自社の課題に沿ったものは何なのかがわからなくなるほどです。重要なのは要素に分けて、それをどうテクノロジーで代替するか、そして貴重なリアルの機会をどう最大限効果的に活用するかという位置付けを考えることです。 その意味では、地方の企業ではまだまだ採用プロセスの改善余地が多くあり、新しい取り組み一つで、多くの課題が一度に解決してしまうこともありえます。他社が取組前だからこそ、先んじてサービスの導入を検討してはどうでしょうか?]]>

この記事を書いた人

山本 浩平